2010/11/01
■ [*band][イラスト]Melinlaito, Philanthropist 'U'
ひさびさに漏れのかんがえたバルログ@シリーズ。先日のバルログ魔獣使い。趣味:ペットの魔改造。
メリンライトはかつて、ヴァラールの審判において彼らから口々に非難の言葉を受けた。
特にイルーヴァタールの思し召す所の生命を愛し、それ以外を連鎖に反する忌まわしき存在として常に狩り追い立てるヴァラの狩人、オロメからはメルコールに対する以上の唾棄を浴びて散々に侮辱されたと言われている。彼は神の子たるエルフや人間達を、あらゆる忌まわしい手段で獣と交わらせ、逆に獣に知性を持たせようとした。それらの行為は被造物とその創造者への冒涜に他ならず、彼がメルコールと同じようにあらゆるアルダの生命を憎み抜いている証拠だと、糾弾されたのだ。
だが彼を理解する者は、実の所彼がこの上ない博愛主義者であることを知っている。彼は至福の地の二本の木の輝きを見ること叶わなかった多くのエルフ達を、死して何処に行くのかを告げらず、ヴァラールすら預かり知る事を知らぬ人間達をこの上なく愛している。アウレの作ったドワーフや、ヤヴァンナの生んだエントもそれぞれの創造主に負けず劣らずに思っている。メルコールの懸命な創造の努力にも関わらず、不完全な魂しか与えられていないオークやトロル達に真の啓蒙を得られるだけの生命力を与えてやりたいと思っている。アイヌリンダレの歌の不協和音の中で生まれた、創造主にも愛されぬ異形の獣達すらも、彼にとっては手を差し伸べるべき存在に他ならない。彼等の全てが、彼等の望むより多様な生を神々に肯定される事を切に願っているのだ。
ヴァラールに糾弾された種々の禁忌も、全ては己の限られた生に苦しんだ定命の者に少しでも望む所の物を与えてやりたいという善意に基づいていた。それ故に彼は激しく罰された後、至福の地を追放された際にも恨み言一つ言わず、彼の協力を必要としているであろうメルコールへ真摯に協力を申し出た。意固地さと矜持の高さに知られるメルコールも、彼が重ねてきた試行錯誤の只ならぬ成果には膝を屈し手を借りざるを得なかったという。実際オークに真の生命を与える研究は彼のお陰で数千年分は進んだとメルコールは後年に述懐している。
とある事変の後、彼は虚空で〈パターン〉と〈ログルス〉──アルダでは決して得られなかった未知の力を始めて知った。万物の根源であるそれらが生命に及ぼす大いなる技は、彼の願いの多くを叶えることだろう。