2015/10/30
■ [Angband]和訳『Angband Release: 3.0.4』
http://rephial.org/release/3.0.4より和訳。
背景
バージョン3.0.4は2004/03/06にRobert Raulmannによってリリースされました。
本リリースはレアリティ、アーティファクト、ステータス技能テーブルなどの調整による、ゲームバランス向上の今一度の実効となりました。ロッド、杖、魔法棒などのスタックシステムを前もってNPPAngbandやOangbandでテストされていものを取り込み、異なる残り回数を持っていても同じものとしてスタックされるようになっています。
同様に、ソートに関するバグの修正、ユーザインターフェースやプラットホーム独自仕様の改善なども、詳細が以下のRobertの更新リスト通りになっています。
更新リスト
- ウォーターボルテックスに水属性攻撃に対する免疫が与えられました。
- カオス耐性がカオス属性攻撃による混乱を防ぐようになりました。
- レベル毎追加MPテーブルが無関係になり、HPボーナスは耐久力が基準となり、スペル習得数はレベル毎とステータスとを並列させ、失敗率調整にINT/WISが依存するようになりました。旧来の上昇量は着実な上昇に変化し、小さなステータス値の上昇も有意義になります。古いバージョンからお気に入りのキャラクターをインポートする際には、3.0.4へのインポート時にHP、MP、スペル習得数が変化します。
- (Jonathan Ellis氏により)サンク系ダガーのダイスが多くの典型のように1d4から2d4に上がり、レア度が低下しました。
- (Jonathan Ellis氏により)パウア系ガントレットが多くの典型のようにマイナーの追加能力(遅消化/急回復/永久光源/浮遊)を得るようになり、レア度が低下しました。
- ロッド、魔法棒、杖が異なる回数でもスタックされるようになりました。(これはLeon Marrick氏によるOangbandのロッドと魔法棒のスタックに基づいたNPPAngbandをさらに手本としたものです)
- (Timo Pietila氏により)ラアルの破壊集大成のレア度が低下、ケレクの力の魔道書のレア度が上がりました。
- (Timo Pietila氏により)ハラドリムのへヴィ・クロスボウはライト・クロスボウになり、ダメージボーナス修正が抑えられました。
- (Timo Pietila氏により)聖なる力エゴから焼棄属性が消えました。
- 重力属性攻撃によるショート・テレポート効果は1/3の確率でモンスターから離れてテレポートする効果になりました。これにより"the Rift spell"戦術の濫用が少し難しくなります。
- (Jonathan Ellis氏の提案により)プレイヤー、モンスターを問わず、重力攻撃効果によるテレポートに抵抗するレベル依存の処理が与えられるようになりました。
- 折れた棒、空のボトル、ネズミの骨などのジャンクアイテムがダンジョン内で生成されなくなりました。
- 古い値切りシステムが取り除かれ、自動値切りシステムが恒久的に適用され、通常の価値に対して、常に10%の所費税がつくようになりました。
- 古いHTMLコードによるスクリーンダンプが、グラフィック、ビッグスクリーン、ビッグタイル、そのほか多くの奇妙な表示を改善したものに置き換えられました。(Darkgod氏のHTMLダンプパッチを元にしています)
- (Hallvard B Furuseth氏の助力を得て)アーティファクトやエゴアイテムの記述を改善しました。
- (Jonathan Ellis氏により)アーティファクトの記述をOangband他多数のバリアントから採用しました。
- Hallvard B Furuseth氏によりベースアイテムの詳細な記述が加えられました。これらの記述はほとんどがバージョン3.0.2でHugo Kornelis、Stephen S. Lee、Leonard Dickens、そしてCraig Lewisの各氏によるobj-long.spoからコピーしたものです。
- (Hallvard B Furuseth氏により)いくつかのエゴアイテムに記述が加えられました。
- "Easy open"オプションがドアを閉じようとするとき、壊れたドアを無視するようになりました。
- キャラクターダンプに装備フラグ配列が加えられるようになりました。
- 8x8のタイルが新たに加えられ"Dawnmist"と定義されるようになりました。
- プレイヤーのダンジョンの最大到達深度がキャラクター情報とダンプに表示されるようになりました。
- 32x32タイルのいくつか壊れた定義を取り除きました。
- (Leon Marrick氏の指摘により)多数の耐性や免疫の多重な定義処理に変わり適切な処理を加えるようになりました。モンスターの思い出やスポイラー中にこれらのフラグがレポートされるようになりました。
- mキーでもpキーでも呪文や祈りコマンドを行うことができるようになりました。
- (Greg Stark氏の提案により)壁の中にいる、見えるモンスターを直接打撃攻撃できるようになりました。見えないモンスターに攻撃したい場合は依然、掘削をする必要があります。
- 「それは元素に攻撃によっては傷づかない」といった情報を[I]nspectingコマンドで本や、その他のアイテムを見た時に確認できるようにしました。
- (Tom Houserにより)'auto_more'オプションの振る舞いが変化し、冒頭のメッセージが表示しきれない場合に表示されないのではなく、 "-more-"プロンプトを自動的にスキップする形になりました。
- 「本当に終えますか?」のプロンプトを「本当に自殺しますか?」に変更しました。
- 情報メニューにスコアを表示するコマンドを追加しました。
- スコア表示の単語表記を少し変更しました。
- 非ユニークモンスターの殺害数を情報メニューに追加しました。
- Mogami氏のマクロトリガーパッチ修正版を追加しました。このパッチはマクロトリガーキーをスクリーン表示やprfファイル用に記述できる形に修正するものです。トリガーキーが^_FFBE\r や ^O_FF53\rのように見づらいものではなく、[F1]や[alt-Right]のようにスマートに表示されるようになりました。
- よりよいキャラクター選択画面のためにカーソルキーが用いられ、種族や職業の選択時に表示されるようになりました。本コードは恐らくZangbandで作られた作成画面をEyangbandが再現したものをさらに参考にしました。
- 新しいキャラクターの初期設定に死んだキャラクター性別、種族、職業を設定できるようになりました。
- 変愚蛮怒からTakeshi Mogami氏の"auto_dump"の仕様を最小限取り込みました。マークされたゲームから、自動prefファイルがダンプされ、同じprefファイルが再度出力された場合は上書きされます。
- 「追放」(訳者註:以前呼称変更された「抹殺」)呪文が「どのシンボルのモンスターを追放するか」の表示の時点で、スクロールやチャージ数を消費せずに中断できるようになりました。
- (John Rauser氏)のモンスターリストパッチを加えて、ウィンドウ中の可視のモンスターのリストを表示できるようになりました。
- ヘルプファイルの案内を改善しました。
- (Eddie Grove氏のバグレポートより)自動鑑定される前に*鑑定*された魔法棒や杖の充填が魔道具の新しい回数を明かすバグを修正しました。この変化はまだ回数が不明のままに関わらず、既に鑑定された魔法棒や杖が*鑑定*できないことによるバグです。
- (Kieron Dunbar氏の報告より)texttoascii()関数が実16進数の0xABシーケンスが使われたキャラクターをチェックしませんでした。不正な16進数シーケンスは'?'に変換されるようになりました。
- マクロ中の不完全な\xシーケンスのハンドリングを改善しました。古いコードでは\xで終わる文字列の最後のNULLバイトを飛ばすため、バッファオーバフローを引き起こす可能性がありました。
- (Jay McAbee氏により)ヤマネコの思い出記述typoを修正しました。
- (Eddie Grove氏の報告により)モンスターの集団が"smart_packs"オプションをオンにした時に恐怖状態を無視することがあることを修正しました。
- ("someog"の報告より)調査の杖やロッドが近くにモンスターが居なくても自動鑑定されるグ具合を修正しました。
- (Tom Houser氏により)プレイヤーが1Fに入った時、階の雰囲気を1000ゲームターンの消費なしに行うことができるようになりました。
- (John D. Goulden氏の報告より)属性攻撃のついた矢弾か武器が、命中修正やダメージ修正の強化が失敗したにも関わらず、自動で結果のアイテムをスタック、並び替えをするようになりました。
- (Mogami氏の報告により)可能な限り(コマンドに対し存在しないアイテムが選択されるなどの不正なオプション選択のような)軽度の警告メッセージを出力するようになりました。
- 全ての軽度の警告メッセージはメッセージウィンドウに即座に表示されるようになりました。
- 光源の呪文の効果は盲目でない状態のみ明らかになるようになりました。
- (Steve Kroon氏の報告より)光の魔法棒やロッドは使用者が盲目時にはメッセージが出ず、自動鑑定されないようになりました。
- (Jay McAbee氏の報告より)スタックしたランタンからランタンの燃料補充を行うのは一つのランタンからののみで、スタック全体からは行わなくなりました。
- 街での地震や破壊の呪文の動作を抑止しました。これで(洞窟の天井が落ちて来た!のような)不適格なメッセージを止めるようになりました。
- プレイヤーがコボルドだった場合にゲーム開始時にKobold.prfを自動的にロードしようとするようになりました。
- スポイラーやキャラクターダンプ時のアイテムやモンスターの記述出力を改善しました。句読点やスペースに応じて次の行へ折り返すようになりました。
- (Hugo Kornelis氏の報告より)基本的なベースアイテムスポイラーは不詳なアイテムについては値段のみを出力するようになりました。
- (Jeff Greene氏の報告より)特定の属性に対して免疫がなくなった時には「貴方は~の抵抗が失われた気がした(抵抗を感じる)」とのみ表示するようにした。
- X11ポート中のカーソルキーはnum-lockキーがオンかオフかに応じてそれと同様の振る舞いを取るようになった。
- (Ed Cogburn氏により)main-gcu.c中の色指定を変更しました。これはDominik Grzelak氏のパッチにより明るい白を青背景から明るい白に変更したものです。(訳者註:原文 This is Dominik Grzelak's patch to change bright white from blue back to bright white.)
- (Frank Palazzolo氏により)USE_GETCHを伴ったcursesのバージョン中に発生するバグに一時しのぎの対応を加えました。news.txtのスクリーンはgetch()関数の初回呼び出し時に消去されます。
- (Sheldon Simms氏により)GTKポート中でキー入力を待つ間AngbandがCPUパワーを100%消費することを修正。
- (Kieron Dunbar氏のsCthangband 1.0.10のコード修正版から)X11ポートのゲームウィンドウからテキストをコピーペーストできるようにしました。
- Windowsポート中の32x32タイルで透明色をサポートしました。これはAndrew Doull氏がオリジナルを作成したタイルビットマップの改良版と新しい透明色マスクを必要とします。ftp://clockwork.dementia.org/angband/Extra/graf-32x32-304.zip(訳者註:リンク切れ)
- Windows版から粗雑なスコア表示メニューを取り除きました。代わりに新しい情報メニューを用います。
- "pelpel"からMac環境独自仕様のパッチを多数適用。
- lib/data/*.rawファイルが書きこみ出来なくても、そのままゲームの初期化を続けられるようになりました。*.rawデータの代わりにメモリに残ったlib/data/*.txtファイルからパースを行う場合があります。これは現状、テキスト配列が最低限必要なメモリにリサイズされないため無駄が発生しています。
- Angbandボーグのためにパフォーマンス調整を追加しました。
- 店主の価格制限値のデータタイプを符号つき16ビットから符号つき32ビットに増やしました。これにより$32768以上の制限を超えることができるようになりました。
- マルチユーザマシン上でプレイヤーのホームディレクトリ中(~\/.angband\/Angband/)下)にセーブファイルやスコアを保存するコンパイル時オプションを追加しました。
- Windows2000及びXPの55ms分解能制限の中で動作するよう、DOS版で異なる遅延用関数を用いるようにしました。
私見
前回同様mogami氏の成果もいくつか取り込まれ、初めて明白に変愚からフィードバックしたという内容を確認、逆に変愚が直接Angbandか、Zangから間接的に取り込んだと思われる仕様はまだまだ多い。店主の取引額制限を16ビットから32ビットにしたのは地味に良い判断かと。変愚ではまだ直していない。