2011/07/02
■ [*band][スケッチ]卑劣王『ガルラハ』(バルログ形態)
他のマイアと比べても、目覚しい武勇を備えているとは言えないガルラハは、かつてトゥルカスに仕えたマイアの戦士の一人であった。当時の彼はイルーヴァタールへの反逆とヴァラールとの対峙を始めたばかりの強大なメルコールと、怯えつつも度々対峙しなければならない立場にあったのだ。
己の武勇にはどうしようもない限界があると悟ったガルラハは、努力を怠ることこそなかったものの、それ以外のあらゆる工夫でも身を固めることを考えるようになった。己の着想と経験を鍛冶の司アウレに語り、共に武器甲冑をアルダで最初に編み出したのは彼等であった。また、力の弱いマイア同士が互いに連携し合い、メルコールやそれに準ずるほどの武闘派のバルログ達を、しばしば手玉に取ることにも成功していた。
しかし、生まれつきメルコールをしのぐ武力を持つトゥルカスは彼の行為を根底から否定した。常日頃から怯懦な振る舞いを見せ、姑息な策で勝利を得ようとする彼を、ある日トゥルカスは、その「怒りながら笑う形相」をしながら凄まじく罵り嘲ったのだった。ほどなくして彼はメルコールに帰順し、アウレとはまた異なる着想を持つメルコールの下で、力の悪鬼に欠かせぬ知恵者の一人として、実力を発揮することになる。
そして怒りの闘いの後、トゥルカスに与えられた侮辱を彼は決して忘れることなく、それ以上の凶行と恥辱を持って返礼した。