2011/06/21
■ [歴史]やる夫が獅子心王になるようです。
やる夫系がしたらばにも存在することに気づいた自分が一押しでお勧めしたい現在進行中の、歴史系やる夫。
予め一つ断っておくと、このやる夫で描かれていることはたまたま十字軍の話ではあるものの、一つ見方を突き放せば、決してヨーロッパに限定されたものではない。どんな文化圏でも法治や福祉、文化の発展が成熟するまでの間に大同小異でこういう時期が存在するということである。日本とて全く言うまでもなく、なまじ人工密集の度合いが高かったり、独特の文化性の働きによってはより陰惨になるケースもあっただろう。
このやる夫が傑作なのはいくばくか前の記事の「マナス」でも言及した「自力救済」が常識であった時代の倫理感とか、そういうものを、DIOことヘンリー二世殿下の緻密な説明を経てロジカルに理解した上で、その悲喜交々を堪能できる点にあると思う。
歴史の真髄はこれほどまでにかけ離れた世界が確かに過去にあった上で、どんな紆余曲折を経て現代の社会に至ったか、その雄大な流れを噛み締めることであり、善悪とか人権とか平和とかを本当の意味で理解するには、本来避けて通ってはいけないはずのものである。
が、とりあえず硬いこと言わずにヒャッハーとビッチ溢れる暗黒中世を素直に楽しむも良し。