2009/10/14
■ [追記予定][変愚蛮怒/開発]ソースコードファイル一覧
勝手版や全く新しく何かを作り出すための後学のために、SourceForgeのsvnからひっぱってきたver1.7.2のrev3052を、まずファイル毎に構成を大まかに把握してみようってことで
まだ全部把握し切れてない上に、全く適当です。
■ [ファンタジー]「『くらやみの国』の社会的実態とか」と何となく絡む話
指輪物語の創作がトールキン御大の二度の大戦の中で味わった苦悶の中で、ファンタジーへの逃避ではなく、現実に対して立ち向かおうとする克己の意図があったことは真摯に受け止めたい。それが真摯であったからこそ世界的に大きな反響も呼び、今も多くに愛され続けている。しかしいかんせん時代は変わるものであるし、歴史に様々な資料が追加されていくことで現実の世界観は変化してゆく。となると指輪物語に盛り込まれたテクストもどうしても変化してゆき、どうもいくつかの隙というか、首を傾げたくなる側面も出てくる。
ネットの随所でロード・オブ・ザ・リングを人種差別映画だと批判するのは、恐らくまだ底が浅い。問題なのはトールキン御大が何より世界観の構築のために、というか言語のために世界を作ったと言うほど言語を大切にした中で、作中の悪の勢力からその叡智すらも奪い取り上げている所が、非常に根が深いのだ。メルコールの後を継ぎ冥王となったサウロンは、どうあれ己の民であるオークに独自の文化と勢力を持たせるため暗黒語を生み出したが、目的を果たすほどに普及させることはできなかった。結果的に方言が山ほどに生まれるのみで、しかもその構成は濁音入り混じりで洗練されてない、あからさまに野蛮人の言葉。文字も西の模倣。一つの絶対的な大文化を除いては他は存在しえないと言う暗喩。それの意味するところは人種差別というよりは、もっと深刻に他文化の存在を否定している事ではないだろうか。
ただ、トールキン神話はイギリスという国の形成の中で根本になりえる神話がないという御大の不満から生まれた、「人工イギリス神話」でもある訳で、そういう点においては自文化圏を中心に添えた世界観は全く問題ない。他の自然神話だってほぼ例外なく異民族をないがしろにしたり、他神話の神を勝手に自分達のアイデンティティに都合よく盛り込んでいるケースは多々ある。しかし、一方でトールキン御大は「作中のエピソードに偏狭な寓話的要素はない」と言う主張を撤回せざるを得ないのではないか。「一つの指輪は原爆の暗喩だ」という当時の即物的な主張とは別個の、世界史研究が御大の死後発達したが故の一考である。
今、指輪物語に匹敵するハイ・ファンタジーを作るならば、やはり女神転生シリーズのごとく世界中の神話を引っ張って来る方向性で、さらに膨大なテクストを紐解き、そこにより人類普遍のテーマを盛り込むとか、その上で御大の如くひたすら言語にこだわる精神がないと無理なんだろうな。できるのか?